トヨタのハイブリッド車には、THSⅡと呼ばれる独自のシステムが採用されており、高い燃費性能と信頼性を誇ります。
しかし、そのような高い性能を誇るトヨタのハイブリッド車でもバッテリー上がりは起こります。また、ガソリン車のバッテリー上がりとは異なる部分もあるため、ハイブリッド車特有の対処法を知っておくことが重要です。
本記事では、ハイブリッド車のバッテリー上がりの原因や対処法について解説します。
ハイブリッド車におけるバッテリー上がりとは
ハイブリッド車におけるバッテリー上がりとは、主に電装品を動かす補機バッテリーの電力不足によって車両が起動できなくなる状態を指します。
ハイブリッド車には、走行に必要な高電圧の駆動用バッテリーと、ガソリン車と同様に電装品(ライト・エアコン・オーディオ・ハイブリッドシステムの起動など)に電力を供給する低電圧の補機バッテリーの2種類が搭載されています。
バッテリー上がりとなるのは、主にこの補機バッテリーです。補機バッテリーが上がると、電装品の使用ができなくなるのはもちろん、ハイブリッドシステム自体が起動できなくなるため走行不能に陥ります。
補機バッテリーは、ガソリン車にも積まれているバッテリーと同様のもので、駆動用バッテリーとは電圧が異なることから相互で電力を共有することができません。そのため、補機バッテリーが上がってしまった場合は、ガソリン車がバッテリー上がりを起こした時と同様にジャンピングスタートや充電などの対応が必要となります。
トヨタのハイブリッド車がバッテリー上がりを起こす原因
ハイブリッド車がバッテリー上がりを起こす主な原因は以下の3つです。
- 駐車時の放電
- エンジン停止における電装品の使用
- バッテリーの劣化・寿命
それぞれの内容について解説します。
駐車時の放電
トヨタのハイブリッド車がバッテリー上がりを起こす原因の一つが、駐車時の放電です。
ハイブリッド車は、走行していない状態でもコンピューター(ECU)やカーナビなどの電装品のバックアップ電源として、常に微量の電力を消費しています。
ハイブリッド車における駐車時の消費電流は、一般的に5~10mA程度と言われています。この微量の放電は、短時間であれば問題ありません。しかし、3~4週間ほどの期間車両を使用しない、走行時に短距離しか走らない、などの場合は駐車時の放電によってバッテリー上がりを招く可能性があります。
電装品の長時間使用
エンジン停止中の電装品の長時間使用もハイブリッド車がバッテリー上がりを起こす原因の一つです。
ハイブリッド車の補機バッテリーは、ガソリン車と同じくエンジン停止中は充電されません。そのため、エンジン停止中にライトやエアコン、オーディオなどを長時間使用すると、バッテリーの電力を過度に消費し、エンジン始動に必要な電力を失いバッテリー上がりを招きます。
近年のトヨタのハイブリッド車はeラッチやACCカスタマイズなど電力を必要する機能が多く搭載されている車種も少なくありません。そのため、従来よりもバッテリーが上がるリスクが高まっているため注意が必要です。
バッテリーの劣化・寿命
バッテリーの劣化・寿命もバッテリー上がりの原因の一つです。
ハイブリッド車の補機用バッテリーの寿命は一般的に3~5年程度(ガソリン車は2~3年程度)といわれており、3年以上バッテリーを交換していない状態でバッテリー上がりが発生した場合は寿命を迎えている可能性があります。ただし、上述の理由により、バッテリー寿命を迎えるより先にバッテリー上がりを起こす車は多くあります。
また、ハイブリッド車は駆動用メインバッテリーが電力供給している仕様上、ガソリン車と比較してバッテリーが寿命を迎えているかがわかりにくくなっています。そのため、今まで問題なかったのに急にバッテリーが寿命を迎えて使えなくなったというケースも少なくありません。
トヨタのハイブリッド車でバッテリー上がりが発生した場合の対処法
トヨタのハイブリッド車でバッテリー上がりが発生した場合の対処法を以下の3つ紹介します。
- バッテリー充電器の利用
- ジャンピングスタート
- バッテリー交換
それぞれの内容について解説します。
バッテリー充電器の利用
バッテリー充電器の利用は、名前の充電器を利用してバッテリー内の電気を回復させる方法です。
バッテリー充電器は、家庭用コンセントなどから電源を取り、バッテリーに直接電気を供給することで充電をおこなううツールで、カー用品店やネットなどで購入可能です。バッテリー充電器を一つ持っておけば、急なバッテリー上がりに対して迅速に対応できるだけでなく、こまめな充電により、バッテリーをよい状態に維持しやすくなります。
近年のバッテリー充電器には、充電以外にも機能が搭載されており、ユーザーの安全性に配慮したものやバッテリーのメンテナンスもおこなえるものなど、さまざまなタイプが存在します。
そのため、バッテリー充電器を購入する際は、価格や規格だけでなく、どのような機能を持っているかも確認することが重要です。
ジャンピングスタート
ハイブリッド車でも、ジャンピングスタートはバッテリー上がりの対処に効果的です。
ジャンピングスタートとは、他の車両やジャンプスターターと呼ばれる専用機器などの外部から、エンジンの始動に必要な電力をもらう方法です。バッテリー充電器がない場合や、すぐにエンジンをかけたい場合に役立ちますが、あくまで一時的な回復方法であり、バッテリー内の電力が回復する訳ではありません。そのため、ジャンピングスタート後は、30分~1時間程度は走行して、バッテリーの充電が必要です。
注意点としては、多くのハイブリッド車ではVRLA(制御弁式)型の補機バッテリーが車内に搭載されており、ガソリン車と同様に直接端子をつなぐのが難しい点です。エンジンルームのヒューズボックス内に救援端子がありますので、そちらを利用してジャンピングスタートをおこなうとよいでしょう。
バッテリー交換
バッテリーを交換してから3年以上経過しているハイブリッド車でバッテリー上がりが発生した場合、バッテリーが寿命を迎えている可能性があります。バッテリーが寿命を迎えている場合はバッテリーの交換が必要です。
ハイブリッド車は仕様により、ガソリン車と比較してバッテリーの寿命がわかりにくくなっています。そのため、バッテリー上がりを防ぐためにも、定期的に業者に点検してもらうのがおすすめです。
トヨタのバッテリー上がり対策には「オプティメイト7セレクト」の利用がおすすめ
トヨタのハイブリッド車のバッテリー上がり対策として、「オプティメイト7セレクト」の利用は、バッテリーの維持管理に有効でおすすめです。
近年のトヨタのハイブリッド車は、多くの電装品を搭載しているためバッテリーへの負荷も増大しがちです。「オプティメイト7セレクト」は、ハイブリッド車を含む様々なバッテリーに対応した高性能な充電器で、最適な充電モードでバッテリーを回復・維持し、バッテリー上がりを予防する効果が期待できます。
オプティメイト7セレクトの機能の一部を以下に紹介します。
機能の名称 | 機能の内容 |
---|---|
全自動マルチステップ充電機能 | バッテリーの状態を診断し、最適な電流と電圧で複数の充電ステップを自動的に実行します。これにより、バッテリーを安全かつ効率的に満充電にすることができます。 |
アンプマティック機能 | バッテリーのサイズと状態に合わせて、充電電流を自動的に最適化する機能です。小さいバッテリーには低い電流で、大きいバッテリーにはより高い電流で効率的に充電をおこないます。これにより、様々な容量のバッテリーに対して、常に安全かつ最速の充電を提供することができます。 |
超強力パルス回復充電機能 | 長期間放置されたバッテリーや、充電不足のバッテリーに発生しやすいサルフェーション(電極板への硫酸鉛の結晶付着)を、微弱な電気パルスを送ることで除去し、バッテリーの性能回復を促します。超強力パルスにより0.5V以上あればバッテリーの回復充電を試みます。 |
バッテリー診断機能 | 充電前にバッテリーの状態を診断し、充電に適しているかどうかを判断します。また、充電中や充電後にもバッテリーの状態を監視し、異常を検知した場合に警告を表示することがあります。これにより、不良なバッテリーへの充電を避け、安全性を高めます。 |
メンテナンス機能 | 充電完了後、バッテリーが最適な電圧を維持するように自動的に制御します。過充電を防ぎ、バッテリーを長期間良好な状態に保ちます。車両を長期間使用しない場合でも、バッテリー上がりを予防するのに役立ちます。 |
表にあるとおり「オプティメイト7セレクト」はバッテリーの性能を最大限に引き出す機能のほか、ユーザーが安心して利用できる機能が搭載されています。
そのため、バッテリー充電器の利用がはじめての方でも、より高い性能の充電器を求める方にもおすすめのバッテリー充電器です。
ただ、注意をすべき点としては充電中の車両システムの起動等の電気的スパイクの影響により、稀にOptiMate充電器がフリーズしてしまうことがあります。これはより高度にバッテリー状態に合わせて充電をするOptiMateだからこそ起こり得るのですが、もちろん再充電をすることも可能です。LED4の状態が24時間以上続く場合は、入力コンセントを抜き充電器側のLEDランプが完全に消灯をしてから10秒以上経った後に、再度充電を開始してください(バッテリー側の接続を外し、再接続をする方法でも構いません)。赤LED3から始まった場合は、そのまま5分程度放置し、(電源を入れたまま)再度接続をし直し、LED4(青)から充電が開始する事を確認してください。

まとめ
ハイブリッド車には、駆動用と補機用の2種類のバッテリーが搭載されており、補機用バッテリーは通常のガソリン車と同様にバッテリー上がりを起こします。
バッテリー上がりの原因としては「駐車時の放電」「電装品の使用」「バッテリーの寿命・劣化」などが考えられ、対策としては「ジャンピングスタートの実施」「バッテリーの交換」「バッテリー充電器の利用」 などがあります。
しかし、最も重要なのはそもそもバッテリー上がりを起こさないようにバッテリーをよい状態に保つことです。定期的にメンテナンスや充電をおこない、いつでも快適な運転ができるよう備えておきましょう。